南米アマゾン.その中心部で, 世界最大のアマゾン河と世界最大の支流であるネグロ河が合流します.
水の色が白っぽいアマゾン河と黒いネグロ河の水質は大きく異なるため, 上の写真のように混じりません.
そのため2つの河は長い距離交わらずに流れます. 水が完全に混じるのは100kmも下流に流れてからです.
今回の私の研究チームは,2つの河の境界において, 多くの魚の稚魚が分布することを世界ではじめて示しました.
その理由は,境界面が,稚魚にたくさんの餌(動物プランクトン)と 隠れ家の両方を提供するからです.
稚魚の餌となる動物プランクトンは黒いネグロ河で多いのですが, 白いアマゾン河では少ないことが分かりました.
しかしネグロ河は透明度がアマゾン河よりも高いため,敵に見つかりやすく, 食べられてしまう危険性が高いのです.
そこで境界面です.ここにいればネグロ河の豊富な餌にもありつけるし, 何かあればすぐに濁って何も見えないアマゾン河に逃げ込めます. そのために境界面にはたくさんの稚魚が住んでいると考えています.
しかし魚も頭がいいもので,稚魚がたくさんいるなら, それを食べに,かしこい大きめの魚も境界面に集まってくるのでしょう.
川の境界でたくさん魚が釣れることは, 地元漁師の間では分かっていましたが, 本成果は,これを科学的に初めて実験して仮説を示したものになります. 境界面の付近では頻繁にイルカを目にします.
きっとここで魚を食べるためなんでしょうね!
Nakajima R, Rimachi EV, Santos-Silva EN, Calixto LSF, Leite RG, Khen A, Yamane T, Mazeroll AI, Inuma JC, Utumi EYK, Tanaka A (2017) The density and biomass of mesozooplankton and ichthyoplankton in the Negro and the Amazon Rivers during the rainy season: the ecological importance of the confluence boundary. PeerJ 5: e3308.