マレーシアサンゴ礁のカイアシ類の季節変化

熱帯の国マレーシアには四季はありませんが,モンスーンに起因する季節があります.

北東モンスーンと南西モンスーンです.

北東モンスーンはだいたい10月末〜2月頃まで,南西モンスーンは4月〜9月頃に卓越します.

北東モンスーンは風が強く雨がたくさん降る雨期に相当します.海も荒れます.

今回,マレーシアのサンゴ礁に生息する動物プランクトンの季節変化を調査しました.

動物プランクトンの中でも数の多いカイアシ類という甲殻類を,異なるモンスーンの時期にサンプリングした結果,カイアシ類の群集の70%は周年を通して小さなサイズのカイアシ類で占められてることがわかりました.

熱帯には小さなカイアシ類がたくさんいます.

そして群集構造は異なるモンスーン毎に異なっていました.

赤道付近の熱帯の海では水温もほぼ一定なので季節変化はないという見解も過去にはありましたが,実際には季節変化があることになります.

統計解析の結果,海流(水がどの向きからやってくるか)と異なる餌環境が,異なるカイアシ類の群集構造を形作っていたと推察されました.

Nakajima R, Yoshida T, Othman BHR, Toda T (2015) Monsoonal changes in the planktonic copepod community structure in a tropical coral reef at Tioman Island, Malaysia. Regional Studies in Marine Science 2: 9-26.