スクリプス海洋研究所ーサンゴ礁関連施設探訪ー

Scripps pier

日本サンゴ礁学会ニュースレター77号にスクリプス海洋研究所について書きました.

青空と海風が心地よい温暖な南カリフォルニア・サンディエゴからお伝えします。

ここに全米屈指の研究所、スクリプス海洋研究所(Scripps Institution of Oceanography、通称SIO) があります。

最古にして最大、そして常に世界をリードする海洋研究所の1 つとして知られています。

その象徴である長い桟橋では100 年以上にわたって海水温が記録され、全球的な気候変動の理解に重要な役割を果たしています。

スクリプス海洋研究所を上から眺める.真ん中が桟橋.

スクリプス海洋研究所ではサンゴ礁の研究も活発です。

ええ、カリフォルニアの水は冷たくサンゴ礁はありませんが、ハワイ、カリブ海、パルミラ環礁、パラオを主なフィールドとして、「人間活動がサンゴ礁生態系にどう影響を与えているかを知る」ために精力的に研究が進められています。

太平洋のど真ん中に位置するパルミラ環礁は、人間活動の影響が最も少ないサンゴ礁の1つとして知られ、人為的な影響を調べる際の格好の場所になっています。

主に2つのサンゴ礁生態系研究ラボがあります。

 Jennifer Smith Labと Stuart Sandin Lab

スクリプス海洋研究所のサンゴ礁チームが力を入れているプロジェクトの1つに「100 Island Challenge」があります。

文字通り世界中100 カ所のサンゴ礁島を訪れて、人為的影響の大小別にサンゴ礁の海底を3D画像としてマッピングし、サンゴ・藻類・魚類など生物相の経年変化を全球的に記録していく壮大なプロジェクトです。

すでに60 カ所以上のサンゴ礁で調査を達成しており、沖縄でもスクリプス海洋研究所による調査が行われる予定です。

  研究所の隣に建つバーチ水族館(Birch Aquarium) は、スクリプス海洋研究所の研究成果を一般向けに分かりやすく発信しており、毎日多くの人で賑わっています。

昨年には100 Island Challenge を紹介するサンゴ礁水槽がオープン。

カラフルな熱帯魚の泳ぐ水槽の中には調査機材も展示され、どのようにサンゴ礁の研究が進められているか、ビデオも使って分かりやすく解説されています。

スクリプス海洋研究所のサンゴ礁チーム.新しくオープンしたサンゴ礁水槽の前で.一番左が私.

最後にスクリプス海洋研究所のライフスタイルを少々。

スクリプス海洋研究所の大学院生と研究者は議論が大好き。

コーヒーマグを片手に、時にはピザをほおばりながら、ビール片手に海に沈む美しい夕日を眺めながら、どこでも活発に研究の議論を交わしています。

ちなみにサンゴ礁チームは研究ゼミを毎月1 回ワインセラーで行います。

皆、ワイングラスを片手に真剣に発表を聞き、笑い、議論を交わしていますよ。

Scripps pier

夕焼けの桟橋

以上、スクリプス海洋研究所からの報告でした。