科研費の書き方:採択率をアップさせる10のコツ

秋になると研究者を悩ますのが科研費の申請ですよね.

悩んで書いたぶん,不採択になるとやっぱり凹みます.... 以前,科研費の書き方のコツを教えてもらったことがあります.

それを実践したら科研費が4回連続で通りました!! 真似したら通った「感動のコツ」を紹介しちゃいます.

審査する側はめちゃくちゃ大変なことを知る

そうなんです.ありがたくも審査をしてくださる方はボランティアで大量の申請書に目を通しています.

萌芽とか基盤研究の申請書は,電話帳のように分厚い応募書類が 何冊もくるそうです. だいたい一人あたり70−150件とか.

ところで,審査員が申請書を評価するときに読んだ申請書の何がよくて何がダメかを「400字程度」で 書かないといけないことはご存知ですか?

審査する側はここが大変なんです.なぜなら空欄にできないから.

しかも審査員の方は膨大な申請書を10-14日で審査しないといけないんです!

だから1日にノルマを課して必死でみてくださっています.

というわけで,審査委員が1件の応募に審査できる時間は長くても15-20分程度,短ければ5分です.

だから非常に見てくれる時間は短いです. 基本「読まれない」と思った方が良いです.

審査基準

当然,審査基準というものがあります.

申請書に対して1から5の点数をつけていくわけですが, 相対評価のため満点の5点は審査した応募のうち10%まで! というルールがあります.

だからほんとは5でもいいかなーという申請書も調整のため4になることがあります.

科研費の書き方の10のコツ

1.なるべく多くのチャンスを狙う

どこにだしても採択率は(だいたい)一緒です.

若手の場合は若手研究と萌芽の2つを出すという手もあります.基盤Bと萌芽も同時に狙えます.

重複を考えるわけです.

また同じ研究グループや同じ研究室から何人も申請するときは, 審査部門や課題に対して戦略を練ることが大事です.

なぜなら選挙と同じで, 同じテーマで同じ所にだすと共倒れするからです.

基盤と若手は別々の審査員にいくので,そのときは同じ内容でもOKです.

2.インパクトのあるタイトル

疲れている審査員の目にとまる,キャッチーなタイトルが必要です.

ときには大風呂敷なタイトルもOKです.必要なら副題もつけましょう.

審査員にもよりますが「〜に関する研究」「〜の研究」「〜の解明」 はウケがよくありません.

ただこういうタイトルで受かっている申請もあるので 審査員次第です.

3.最初の3行に思いをこめる

審査員の方が評価を400字で書くとき見返すとしたら研究目的のページしかみないそうです(時間ないので).

とくに研究目的がとても大事です.熱意が1ページ目にあるかどうかです.

その熱意は最初の3行に集約されます.

専門が違う分野外の審査員を納得させて感動させることが大事です.

なお,研究計画に無理があるものは第二段階の審査でたいてい見抜かれるそうです(基盤Aなど).

非常に良く書けていても,(方法的に)無理なものはダメになるそうです.

4.説明の通りに書く

科研費の応募書類には,小さな字で「これこれを書いてください」 と記述があります.

このルールをキチンと守ってください.

これも評価の対象になっているからです.

5.視覚的で直感的にみせる

審査員は疲れてますから,申請書を見てくれるのはせいぜい5-10分です.

審査員はいつも斜め読みです.最初から最後まで読みません.

そうです,「絵だけで分からせる」ようにしましょう.

図やグラフを多用して,申請書の半分くらいは絵で埋めちゃいます.

私も申請書の右半分はほぼ絵で埋めています.

絵だけでほぼ自分の研究がなにをするのか,わかってもらえるように書きます.

審査は専門外の人が対応する場合もあるので,専門外の人がみてもわかるように書きます.

図の中に研究の背景とか目的を書いておきます. 自分の研究が紹介された新聞記事などがあれば積極的に引用しましょう(新聞記事の画像をデーンと載せる).

インパクトあります.

自分の論文がジャーナルの表紙を飾ったりしたらもうけもんです.

その写真をデテーンと載せてしまいましょう.

6.申請書は読まれないが、それでも一生懸命に書く

前に書きましたが,審査員は基本「斜め読み」です. 最初から最後まで読みません.

なので,斜め読みで要点が分かるように書きます.

太字を読んでいけば,何がしたいかが分かるようにするのもいいと思います.

申請書は,丁寧にリキを入れてびっしりと書きます

スペースが多いとか,無駄に行間が広いとか,余白があるなんて御法度です.

熱意が伝わらずテキトーだなと思われ印象が悪くなります.

後半のページも妥協せずにびっしりと書きます.

後半になってくると疲れが見える申請書が多いそうです.

一文一文は短いほうがいいです. 一つの文章はできる限り短くコンパクトに書きましょう.

重要なポイントはボールドかアンダーラインをひきます.

文章は明朝で書いて,重要なところはゴシックで書いてもきれいに見えますよ.

一番右側は1文字分のスペースをあけておくと見やすくなります.

結語は明確にそして断定的に書きます.自信を示します.

ほとんどの申請書を見る人は分野外で,よく分かってない(はず)なので 自信満々に書きましょう.

「〜と考えられる」「〜と思われる」「〜の可能性がある」はダメで, 「〜を見いだした」「〜できる」と書きます.

繰り返しがないように気を付けましょう.

つまり他のページにかいてあることをリピートしていないか要チェックです.

後半のページが目的ページのリピートに なっていることはよくあることです.

従来の研究を引用しながら書きましょう.

その際,論文のタイトルや ページ数まで申請書の中に書いておきます.

7.研究業績はもっともよく見るところ

審査員はタイトルと目的を読んだ後はまずここを見ちゃいます.

論文がない人はお金あげても論文書かない人のように思われ印象が悪いです.

しかし最初の頃は論文がないのも事実です.

と思っていたら,2018年から業績はオンライン(Research map)でチェックできるようになったので審査委員はわざわざ業績をいちいち見るのか疑問です.

だって忙しいし!

もしオンラインでなく紙面でしたら,びっしり効果的に書きましょう.

招待講演とか入れられるものは何でもいれましょう.

分野外の人は,雑誌名をみてもわからないので 「この雑誌はネイチャー級よ」とか「インパクトファクターいくつ」 と書き込むのもありです.

8.情報収集が勝負を制する

とにかくお願いして,受かっている人の申請書を見せもらいましょう.

受かっている人の書類を真似するのが大事です.

そして今年の申請書の「書き方」はきちんと読みましょう.

どの分野で出すのかもよく考えます.

科研データベースを徹底活用して知り合いや似た分野の人がどこに出しているのか調べます.

内容にあった分野で直球勝負か?

総合的なところに出すか? 

9.学会でアピール(直接は関係ありませんが)

学会での発表賞は貪欲に取りに行きます.

そうすると申請書に入れ込めます.

申請書では「俺は研究できるぜ!」って審査員に思わせるのが大事です.

あと知り合いだと点数が高くなったりする(こともある)らしいです.

10.締め切りギリギリまで手を入れる

科研費の申請書は何度も見直しましょう.

一度書いたら時間をおいて見直しです. 科研費の時期は論文書きと実験は基本的に禁止ですね.

Happy writing!

ところでこのブログで紹介している科研費ノウハウが本になりました。

狙って獲りにいく!科研費

上記の内容はほんのさわりだけで、本では確実に採択に持って行くためのディープなノウハウが満載です。海洋研究開発機構の採択常連や審査委員経験者15名にインタビューしてまとめた他に類のない1冊になっているかと思います。